最近の読書普及活動としては、書評合戦ビブリオバトルよりも「選書図書運動」に比重を置いています。選書は非常に根気のいる作業ですのでなかなか時間の確保が難しいですが、これからは週一程度でブログの更新を再開したいと思います。
基本的にビブリオバトルは「本好き」が集まる傾向にあります。私の所属していた「日本出版販売株式会社(以降「日販」)」では「書店に訪れる人」しか全く見えていないように、私もまた「本好き」にしか遡及できていなかったように思います。
出版業界では書店での「単価を上げる」「回転率を上げる」ことが至上命題とされてきました。小売業としては非常に正しいのですが、そもそも本屋に来る人が減っている昨今、その流れを食い止めることが喫緊の課題です。出版業界は1996年をピークに未だ右肩下がりが続いています。ここ20年で1兆円以上の市場が消えました。しかしながら打開策は全く掴めていないのが現状です。
私はビブリオバトルを活用することで各地方自治体の教育委員会と連携し、学校図書館と外商店(街の本屋)の関係を活性させるモデルケースを提案していました。しかし、今思うとそれも業界内の域を超えられていない活動であったと痛感するのです。「イベントの参加者数を増やす」「開催頻度を上げる」それは「本好き」をより「本好き」に寄らせ、閉塞的なコミュニティの発展を促進しただけに過ぎないのではないでしょうか。もちろん人が集まることは決して悪ではなく、注目される施策も積極的に打つべきなのですが、それが「読書普及」なのかと問われると、「この地域」の「本好き」を集めるイベントをしただけとしか答えられないような気がするのです。
一番手を打つべきなのは「本屋に来ない人たち」であり、「本を読まない人」を「読書家」にすることが真の「読書普及」ではないでしょうか。一ヶ月に一冊も本を読まない「不読者」の割合は高校生・大学生と共に50%を超えて、これから社会に出てくる20代のほとんどは「不読者」という昨今、彼らに読書の楽しさを伝えることが急務なのではないでしょうか。
アンケートに基づいて「こども達」(たまに大人たち)に本を選ぶ作業は、「机の上に本を置く」ことへの第一歩であると思います。勉強の習慣を身につけるためには、まずは机の前に「座る」ことを毎日行うことが必要です。それと同じで「本を読まない人たち」に歩み寄った本を選書し「机の上に本を置くこと」ができれば、きっと「不読者」の数は現状よりも減らすことができると私は確信しています。
さて私は今からちょうど1年前の「2017年5月31日」に日販を退職しました。
一般社団法人ビブリオポルトスを社会起業してから3年、新卒からは1年と1ヶ月をこの会社で過ごしました。2016年11月のある日、日販独立の半年前に以下のような青臭い文章を記していましまので、ここに引用したいと思います。青臭いと言いましたが、その思いは今と全く変わってはいません。
【魂が腐ることを危惧している】
基本的にビブリオバトルは「本好き」が集まる傾向にあります。私の所属していた「日本出版販売株式会社(以降「日販」)」では「書店に訪れる人」しか全く見えていないように、私もまた「本好き」にしか遡及できていなかったように思います。
出版業界では書店での「単価を上げる」「回転率を上げる」ことが至上命題とされてきました。小売業としては非常に正しいのですが、そもそも本屋に来る人が減っている昨今、その流れを食い止めることが喫緊の課題です。出版業界は1996年をピークに未だ右肩下がりが続いています。ここ20年で1兆円以上の市場が消えました。しかしながら打開策は全く掴めていないのが現状です。
私はビブリオバトルを活用することで各地方自治体の教育委員会と連携し、学校図書館と外商店(街の本屋)の関係を活性させるモデルケースを提案していました。しかし、今思うとそれも業界内の域を超えられていない活動であったと痛感するのです。「イベントの参加者数を増やす」「開催頻度を上げる」それは「本好き」をより「本好き」に寄らせ、閉塞的なコミュニティの発展を促進しただけに過ぎないのではないでしょうか。もちろん人が集まることは決して悪ではなく、注目される施策も積極的に打つべきなのですが、それが「読書普及」なのかと問われると、「この地域」の「本好き」を集めるイベントをしただけとしか答えられないような気がするのです。
一番手を打つべきなのは「本屋に来ない人たち」であり、「本を読まない人」を「読書家」にすることが真の「読書普及」ではないでしょうか。一ヶ月に一冊も本を読まない「不読者」の割合は高校生・大学生と共に50%を超えて、これから社会に出てくる20代のほとんどは「不読者」という昨今、彼らに読書の楽しさを伝えることが急務なのではないでしょうか。
アンケートに基づいて「こども達」(たまに大人たち)に本を選ぶ作業は、「机の上に本を置く」ことへの第一歩であると思います。勉強の習慣を身につけるためには、まずは机の前に「座る」ことを毎日行うことが必要です。それと同じで「本を読まない人たち」に歩み寄った本を選書し「机の上に本を置くこと」ができれば、きっと「不読者」の数は現状よりも減らすことができると私は確信しています。
さて私は今からちょうど1年前の「2017年5月31日」に日販を退職しました。
一般社団法人ビブリオポルトスを社会起業してから3年、新卒からは1年と1ヶ月をこの会社で過ごしました。2016年11月のある日、日販独立の半年前に以下のような青臭い文章を記していましまので、ここに引用したいと思います。青臭いと言いましたが、その思いは今と全く変わってはいません。
【魂が腐ることを危惧している】
私は出版業界の中核を担う会社の、一人の新入社員である。
自分の能力(ビブリオバトル・企画力・突進力)を最も生かせると踏んだ部署の公募に応募し、川崎市教育委員会を皮切りに日本全国の読書教育活動として実現したいことや、3兆円市場に向けた構想を思う存分ぶちまけた。新規部署では新しい風と、あらゆる企画を無理矢理でも実現させる膂力が必須であると確信したからである。
去る10月10日、会社を辞め自力で構想を実現しようかと迷っていた矢先、絶妙なタイミングで10月12日に公募が出され、読書教育に全力を出せる可能性に大いなる情熱を見出した。そこから自分の中のギアが一段上がり、生き生きと営業として成果を出すことができた。12日、出張先で公募の報せを知り、帰りの特急あずさの中2時間半で応募用紙を書き上げ、14日の朝に上長に相談した。この日のスピード感は凄まじかった。上司がさらに上に相談し、私との面談を重ね、ついには役員と話す機会に恵まれた。14日の昼過ぎである。役員は忙しい中、私のために2度も時間を割き、応募用紙の添削まで引き受けてくれた。
「お前のやることは絶対にこの業界に必要だから、自信を持ってことにあたれ」「お前のやりたいことを全面に引き受けられる部署は、残念ながらこの会社にはない。だから最もやりたいことに近いこの部署に挑戦するお前を全力で応援する」「昼前に、担当役員と部長に挨拶に行った。まだ入社して半年の新人だが、誰よりも明確なビジョンと情熱を持って仕事にあたる男が公募に申し込むから宜しく頼むと伝えた」
私は昼過ぎの喫茶店(穂高)で涙が止まらなかった。素晴らしい職場に恵まれ、だからこそ自分の能力を十全に発揮しなければならないと強く誓った。
結果は落選。通った面々が自分よりも企画力・実行力に優れていたとは到底思えず(生意気であることは重々承知の上)、納得がいかないので面接官を務めた部長に時間を都合してもらい直談判。
「情熱的なのは歓迎するが、他の社員との温度感が異なる」「スタートアップの現段階にあなたの想定することは満足にできないと思う」「営業として一皮剥けたら来て欲しい、負担にならない限りでビブリオバトルの協力を要請する」
つまり扱いづらいから今は来るなと言われたのである。
悔しい。非常に悔しい。
何よりも一段上げてしまったギアが元に戻らない。
新入社員としての今の状況は決して悪いものではない。
正直、環境としては非常に恵まれていることは自覚している。能力の実現の場としても、要求をそこそこ満たしてはいる。
しかし、問題は一段上げたギアが戻らないことにある。
上長にも相談したが「ビジョンが明確過ぎる」ことが営業としてマイナスに作用していると指摘されるとは夢にも思わなかった。
私は自分の可能性を、全て発揮する場が欲しい。そんな都合の良いものはない、なければ自ら作らなければならない。今こそ行動の時ではないだろうか。あと半年待て、とりあえず1年は、とりあえず3年は我慢しろ。確かに一般的にはその方が得策だろう。順当に出世してそれなりの満足感は得られるだろう。
だが、このままでは私の魂が腐る。居心地の良い環境は全力で蹴り飛ばさなければならない。
この業界は、何よりも体力がない弱小書店は、このままでは文字通り一つ残らず消滅してしまう。今、本当に今この瞬間に動き出しても間に合わないレベルで縮小を続けている。
今ここで頑張らずにいつ頑張るのか。
これは出版業界への宣戦布告である。
以上です。
この時の私の武器は「ビブリオバトル」一本でした。
結局11月と翌3月でも異動は実らず、4月に退職届を提出し一年前の5月31日に独立しました。

話しの流れは変わりますが、2018年3月29日(木)に出版業界唯一の業界紙「新文化」の1面に記事が掲載されました。
以上です。
この時の私の武器は「ビブリオバトル」一本でした。
結局11月と翌3月でも異動は実らず、4月に退職届を提出し一年前の5月31日に独立しました。

話しの流れは変わりますが、2018年3月29日(木)に出版業界唯一の業界紙「新文化」の1面に記事が掲載されました。
2017年5月末(あと1ヵ月でボーナスだった笑)、出版業界の最大手である日本出版販売株式会社から独立しましたが、年度内最後に発行の業界紙の1面に特集していただきました。
せっかくなので前職の代表取締役以下役員全員、管理職70名ほどに報告メールしました。
この号の4面に日販の人事(トーハンも)が載っているので、きっと私の記事を見てくれているはずです。
業界紙の影響はさすがの威力で、出版デジタル機構(電子出版取次)やポプラ社、星海社(出版社)からすぐに連絡が来ました。出版業界を巻き込んで、ビブリオバトル普及&選書図書運動を大々的に展開して行きたいと思います。
以下、記事の全文です。
「神奈川・川崎市立の小中高校、特別支援学校に通う児童・生徒の不読率をゼロにしたい」――そんな夢を具現化していこうと一般社団法人ビブリオポルトスの代表理事を務める小松雄也氏(27)が孤軍奮闘している。
大学1年生の時にビブリオバトルに出会い、「本を通じて人を知り、人を通じて本を知る魅力」に惹かれた。川崎市役所に出向き、「ビブリオバトルを市だけでなく、全国に普及させたい」と直訴。2013年12月に市立図書館で初めてビブリオバトルを開催した。その後も「本は自分に大切なものを教えてくれるもの」という小松氏の思いに、市の教育委員会が動いた。区役所などとも連携して市立病院、美術館でも実施した。14年9月、大学3年生の時にビブリオポルトスを設立し、さらに活動範囲を広げていった。
16年、日本出版販売に入社。首都圏支社の信越支店に配属されてからも勢いは止まらなかった。担当地区の長野県では、安曇野市立中学校の3年1組の生徒34人に「読書に関する意識調査」のアンケートを行い、その1人ひとりにそれぞれ異なる本を選んだ。中学校には地元の書店から購入してもらえるようお願いし、これまでにない手法で書店外商部をサポート。その後、生徒たちの読書量は3・4倍になったことが分かった。
小松氏は当時、セット本体価格4万円の「ポプラディア人物事典」(全5巻)を1人で40セット販売し、その功績もあって信越支店は日販全支店のなかで1位となる。
しかし、17年5月、多くの上司や同僚の反対もあったが、同社を退社。1人でビブリオポルトスの使命を全うしようと決めた。
「日販の入社に当たり、最終面接官だった加藤哲朗専務は憧れであり、尊敬する方でした。大阪屋栗田に転籍されてからも、食事にお誘いくださったことが何よりも嬉しかった」。
独立後、小松氏はクラウドファンディングで、市の児童養護施設などに本を寄贈するための資金を募っている。現在は42人から17万円が集まっている。地元の北野書店が長く読んでもらうためにフィルムコーティング装備を行う。その寄贈先の子どもたちに「いま夢中になっていることはなにか」と問うアンケートを行い、それに基づいて選書していく。
「川崎市の小中高校、特別支援学校の生徒は約11万人。1年に1冊ずつ寄贈するための予算約1億円の計上を市長に陳情していきたい。そして全国にムーブメントを起こし、出版界に恩返しできたらと思います」。この大志が同氏の原動力になっている。
以上です。
今では「選書図書運動」を主力として「机に本を置き続ける」活動を推進しています。
ビブリオバトルと並行して読書普及に努めたいと思います。
そして表題ですがせっかくなので本日5月31日をNippan Independence Dayと宣言します。
「日販独立記念日」です。ボーナスの一か月前に辞めることがコツです。
一般社団法人ビブリオポルトス代表理事 小松雄也
以上です。
今では「選書図書運動」を主力として「机に本を置き続ける」活動を推進しています。
ビブリオバトルと並行して読書普及に努めたいと思います。
そして表題ですがせっかくなので本日5月31日をNippan Independence Dayと宣言します。
「日販独立記念日」です。ボーナスの一か月前に辞めることがコツです。
一般社団法人ビブリオポルトス代表理事 小松雄也