「絵本のまち、かわさき」と社会起業家 小松雄也の活動記録

【経歴】神奈川県川崎市出身。明治大学法学部を卒業後、出版業界最大手に就職。入社1年目で複数の企画で全社1位となり、社内のビジネスコンテストでは優秀アイデア賞を獲得。その後独立。 学生時代に周りの「読書離れ」が進んだ現状に強い危機感を抱く。大学図書館で一人奮闘する中、書評合戦ビブリオバトルと出会い、本を通じた人々の交流に可能性を見出す。2014年に読書を通じた世代間の交流、地域活性化や読書教育へと本格的に取り組むため、在学中に一般社団法人ビブリオポルトスを設立。小中学校での読書教育や、新聞で書評を担当する等、精力的な読書普及活動を続ける。第31回人間力大賞 会頭特別賞。「川崎市における読書普及活動」で第10回マニフェスト大賞 審査委員会特別賞(秋吉久美子選)を受賞。

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 今回は2014年5月10日(土)のイベントレポートです。Evernote Camera Roll 20140512 140711
■イベント開催概要
2014年5月10日(土)14時から、今回で第3回目となる「ビブリオバトル入門&体験講座」イベントが川崎市立中原図書館で開催されました。
参加者は小学生から年配の方まで、武蔵小杉近隣の方々を中心に、中には福井県から参加頂いた方もいて、総勢30名以上の方々にご参加頂きました。
ビブリオバトルとは、各自持参したオススメ本を5分間でトークのみで紹介し合い、最後にどの本が読みたいと思ったかを基準に投票でチャンプ本を決定するコミュニケーションゲームとなります。
コンセプトは「本を通して人を知る、人を通して本を知る」「書評のフットサル」と位置付けられています。
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本イベントは、ビブリオバトルの概要を理解し、エキシビジョンマッチを見学することで雰囲気を感じた上で、実際に参加者同士でビブリオバトルを体験・体感することをメインとしたワークショップ型イベントです。
今回のイベントスケジュールは以下の通りとなります。Evernote Camera Roll 20140512 140750
■3名によるエキシビジョンマッチ
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中原図書館田邊館長(当時)からの利用案内を含めたご挨拶、そしてビブリオバトルの簡単なルール説明の後、早速、代表発表者3名によるエキシビジョンマッチが行われました。
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トップバッターは、エキシビジョンマッチ常連の大学生小林さん(後輩)。
在籍する明治大学文学部教授の著書を取り上げ、堅苦しい感じに思われる「古典」に対する読み方の3つのアプローチ方法や、おすすめ古典50選が載っていて「古典」を読むようになったエピソードを紹介し「古典」を読むことの魅力や良さを語りました。
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パラダイス山元の飛行機の乗り方 1日11回搭乗の「ミリオンマイラー」が教えるヒコーキのあれこれ (ダイヤモンドビッグ選書)
2冊目の紹介は、旅好きが高じて「こすぎトラベラーズサロン」という、旅好きが集まり気兼ねなく語り合い交流できる場作りを開設しようと準備していた真鍋さん。
武蔵小杉で夢が実現する直前に、こちらのイベントに出演していただいていました!
飛行機乗り好きの本を取り上げ、マニアック過ぎる飛行機乗りの楽しみ方、仰天エピソードを次々に紹介し、会場を盛り上げました。
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東京近郊の山ハイク (単行本)
最後は、ハイキングルックで小学生の娘さんと共に登場の岡本さん。
(弁論台の後ろに隠れている娘さんが可愛い)
ハイキングガイド本を紹介し、武蔵小杉からのアクセスの良さを再発見したことや、ガイド本を参考に初めてハイキングした際のエピソード、今後、ガイド本に紹介されている山を制覇するのが楽しみであることを紹介し、ハイキングの魅力が存分に伝わってきました。

3名の発表終了後、会場参加者1人1票で「読みたいと思った本」について手を挙げて投票しました。Evernote Camera Roll 20140512 142201
投票結果、見事エキシビジョンマッチチャンプ本になったのは、、、
真鍋さんの発表した「飛行機の乗り方(パラダイス山元)」に僅差で決まりました!良い写真
その後、5人一組のワークショップ型ビブリオバトルを行いました。
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各グル―プで紹介された本を掲載します。
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・【チャンプ本】これも数学だった!?(河原林 健一,田井中 麻都佳)
・1時間の違いですべてが捗る 朝活のススメ(徳本 昌大 他)
・後世への最大遺物(内村 鑑三)
・世界の変なトイレ(モーナ・E・グレゴリー 他)

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・【チャンプ本】イニシエーション・ラブ(乾 くるみ)
・【チャンプ本】二宮翁夜話(二宮 尊徳)
・赤毛のアン(モンゴメリ・村岡 花子)
・ゴールデンスランバー(伊坂 幸太郎)
・村上海賊の娘(和田 竜)
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・【チャンプ本】フェイド(ロバート・コーミア)
・おれに関する噂(デマ)
・謎解き超常現象(ASIOS)
・カソウスキの行方(津村 記久子)
・空の如く 海の如く(新田純子)
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・【チャンプ本】風をつかまえた少年(ウィリアム・カムクワンバ 他)
・おたのしみ弁当(吉田健一)
・挫折し続ける初心者のための最後のジャズ入門(中山 康樹)
・もの食う人びと(辺見 庸)
・坂の上の雲(司馬 遼太郎)
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・【チャンプ本】つめたいよるに(江國 香織)
・11万年のうえの1日
・生物と無生物のあいだ(福岡 伸一)
・愛について(キュルケゴオル)
・漢字クイズ100―意外と読めない、たぶん書けない
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・【チャンプ本】ハローキティBOX ご当地キティ 完全カタログ3(限定キティ保護者会)
・絶対相手にNOと言わせない心理交渉術―シチュエーション別実戦説得テクニック(内藤 誼人)
・ボールペンでかんたんイラスト帳(4 flowers)
・かんがえるカエルくん(いわむら かずお)
・はだしのゲン(中沢啓治)

■(非公式)グランドチャンプ本 決定戦
イベントとしては、参加者同士のビブリオバトル体験で終了となりましたが、
中原図書館閉館時間までの間、参加希望者のみで各グループのチャンプ本同士で(非公式)グランドチャンプ決定戦を行いました。
以下の5冊のグループ内チャンプ本で、各自3分のミニビブリオバトルが行われました。
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・これも数学だった!?(河原林 健一,田井中 麻都佳)
・ハローキティBOX ご当地キティ 完全カタログ3(限定キティ保護者会)
・イニシエーション・ラブ(乾 くるみ)
・風をつかまえた少年(ウィリアム・カムクワンバ 他)
・つめたいよるに(江國 香織)

投票結果、以下の本が(非公式)グランドチャンプ本に選ばれました!


風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった (文春文庫)Evernote Camera Roll 20140512 142522
■【参加者の声】
・見学するだけでなく、ビブリオバトルを体験できて良かった
・ビブリオバトルがこんなに面白いものだとは思わなかった
・普段読まないジャンルの本が知れて良かった
・参加者が気軽に体験できるワークショップ型のイベントはなかなか無くて良い
・自分のコミュニティの中でもビブリオバトルをやってみたい

今振り返ってみても、紹介された本の表紙を見るだけで誰が紹介していたかが思い出せるのが素晴らしいと思います。
「本を通して人を知る・人を通して本を知る」を体現したイベント開催ができました。

2018年もこのような活動を是非とも再開して行きます!
紹介された本を1冊でも読んでいただけるとこれ以上なく嬉しいです。
これからも宜しくお願いします。

小松雄也

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今回は私の読書普及活動の原点と言える川崎市立中原図書館での一幕を紹介します。
舞台は2013年12月21日(土)第1回中原図書館ビブリオバトル入門&体験講座です。
ビブリオバトルに触発された私は、すぐに地元でも開催したいと当時の中原図書館長に直訴して、3ヶ月くらい粘りに粘って6F多目的室を貸していただけることになりました!大学に行く前に伺い、大学が終わったらまた挨拶に行く。既に勇退された田邊館長、本当にご尽力ありがとうございました。
こちらのイベントは川崎市立中原図書館の後援、有隣堂の協力で実施しました。
 
まずは冒頭で「ビブリオバトルって何だ? ルール説明!!」を流しました。
こちらの動画は本当に素晴らしい完成度です!
絵本タッチでほのぼのテイスト。伝えたいエッセンスが見事に詰まっています。
中原図書館ビブリオバトル
ポスターもしっかり保存されていました笑
また当時のFacebookイベントページが残っていますので掲載します。
https://www.facebook.com/events/758749810808157/
【タイムスケジュール】
13時30分: 中原図書館6階 多目的室開場
14時00分: 開会の挨拶&ビブリオバトルエキシビジョンマッチ
14時30分: ビブリオバトルの解説&説明
14時50分: 休憩
15時00分: 4人一組でビブリオバトル体験
15時30分: 閉会の挨拶&16時までフリートーク可

第1部が代表者によるエキシビジョンマッチでまずは「質問者&投票者」としてビブリオバトルに参加。第2部が全員参加のワークショップ型ビブリオバトルで実際に「発表者」という形式は、考案者の谷口先生が千代田図書館で行っていたものを換骨奪胎(丸パクリ)したものです。当時はパワポ資料もお願いして丸々いただき(厚かましい) 公式ルールの理念に即した上で自分なりに改良したものを使用していました。

まずは第1部の大学生4名(同級生&後輩)によるエキシビジョンマッチ。
残念ながら当時の写真が遺されていないのですが、メモだけは見つかりました!
【チャンプ本】

奇跡の教室 (小学館文庫)
見事にチャンプ本を獲得したのはこちらの本でした!
将来は国語科教師を目指しているという学生の熱意が伝わってくる紹介でした。
戦後、公立校のすべり止めと見られていた灘中学で、文庫本『銀の匙』だけを3年間かけて読む授業を始める。虚弱な少年の成長物語を、横道にそれながら丁寧に追体験していく、橋本授業を受けられたのは30年間でわずか千人。そして『銀の匙』授業3巡目の昭和43年卒業組は「私立初の東大合格者日本一」に。実社会でも教科書なき道を切り拓いていく、「燃え尽きない一生学び続ける好奇心」を授けた授業を、橋本武自身と教え子たちへの1年間の及ぶ取材から解析。スロウリーディング・ブームの火付け役となった感動のノンフィクション。

銀の匙 (新潮文庫)
2016年に新潮文庫から「銀の匙」が出版されていたのでご紹介。
日々の生活を子供の視点から淡々と描いた本作は、生命力に溢れていて素晴らしい。
「君たちはどう生きるか」や「次郎物語」と併せて読みたい一冊です。
(これらの本は改めて紹介させていただきます。)
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こちらが4人一組のワークショップの様子です。
各グループでチャンプ本が決まった後、面白いことが起こりました。
何と参加者の皆様が自発的に、各グループでチャンプ本になった本を全体で共有したいと申し出ていただいたのです!(本当に嬉しかった)
当時の中原図書館館長も粋な人で、土曜日は通常17時に閉館でありますが、自然に生まれた市民からの要望を受け時間ぎりぎりまでの延長を快諾していただきました。
そこから臨時のビブリオバトルです。
エキシビジョンマッチ・ワークショップから続いて、3度目の戦いが始まりました。
【チャンプ本】

へんないきもの三千里
当時を見返して驚きました。
昨今の「ざんねんないきもの」ブームを見越してこの本が紹介されていたのです!笑
深海魚に呑まれ、アリに奴隷にされ、免疫細胞軍と戦う羽目に・・・・・・セレブなおシャレ少女が放り出されたのは、情け無用の生き物世界だった!へんないきもの、続々登場。生物界に迷いこんだ少女のすっとこ長編物語。
こちらのチャンプ本を獲得したのは私の中学時代からの友人でした。
参加者たちのイベント記事も発掘したのでご参照いただければ当時の雰囲気に触れていただけると思います。
https://shinojackie.blogspot.jp/2013/12/blog-post_32.html
http://mame-tora.com/2013/12/2150

こうして私の初めての読書普及活動は無事に終えることができました。
参加者は全体で27名。参加者全員の満足度が高い素晴らしいイベントとなりました。
実はこのイベントは川崎市内で大きな話題となり、これから連鎖して市内に広がりを見せて行くのですが、それは次回の記事でお話ししましょう。
川崎市民の皆様は温かく、本当に清々しい気持ちになれる1日でした。

小松雄也

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