英国文化を詳細に描いた「エマ」に続き、森薫の長編第二作です。
1800年代後半の中央ユーラシアを舞台とした乙嫁たちの日常を描いています。
乙嫁とは「可愛いお嫁さん」の意味であり、本作には様々な魅力的な乙嫁たちが登場します。
先日(2018年2月15日)に最新第10巻が発売されましたので、これを機会に是非とも触れてみてください!
先日(2018年2月15日)に最新第10巻が発売されましたので、これを機会に是非とも触れてみてください!
1 豊かに感じるのは何故だろうか
まずはこうやって石を並べるだろ。石の上に柱を立てる。柱の上に肘木を乗っけて……(中略)……そっからさきは嫁さんたちに任しておけばいい。床にじゅうたん敷いて、壁掛けかけて、そうすりゃ一軒出来上がりだ。
コンクリートの家に住む私にとって、自然に近い家に大きな魅力を感じます。実際に木造の一軒家に3年間住んでいたことがありますが、木の家はコンクリートの家とは違い、家の中の空気が瑞々しく潤い、その空間にいるだけで力が湧いてくるような気がします。特に冬場でも木の家は乾燥しないため、とても居心地が良いです。英気を養うには、より自然に近い木の家が最適であります。
2 歌と生きる日常
わたしの馬は 金の馬 お前に乗せよう黄金の鞍を おまえにかけるは銀のはみ 鳥が空をとぶように 青い草野を駆けめぐる
私の世代には、民謡の伝承があまりされていないように思います。祖父母の世代は、上から伝わってきた歌をよく口遊み、父母の世代もそれを聞いて育っています。しかし、娯楽の多様化の影響か今の若者で、口承されてきた歌を諳んじることのできる人は、私も含めて圧倒的に少ないため、何だか寂しい気がします。祖父母に会う際には、色んな歌を聞かせてもらうのですが、幼少期を過ぎると口頭伝承を覚えるにはなかなかこれが難しいです。子供の頃からそういった歌に触れてみたかったと強く思います。
3 死に対する価値観
お前さんの心配する気持ちは分かるよ。平気だと思っていたのが、いきなりコロッといっちまう事は多いからね。
医学の発達により、突発的な早世は少なくなった。その代わりに、死というものが日常から排除され、よく分からないものとなってしまったのではないでしょうか。私は葉隠に興味を持つだけあって、幼少の頃より死に対して敏感であったらしいです。あれは小学1年生の頃、死に対する恐怖で2か月ほど毎晩泣いていたらしい。死と永遠の概念が怖かったのでしょう。しかし2か月も考え抜くと、今度は開き直って死ぬことは生きることである、という哲学にたどり着いたのだから不思議なものです。
小松雄也