「絵本のまち、かわさき」と社会起業家 小松雄也の活動記録

【経歴】神奈川県川崎市出身。明治大学法学部を卒業後、出版業界最大手に就職。入社1年目で複数の企画で全社1位となり、社内のビジネスコンテストでは優秀アイデア賞を獲得。その後独立。 学生時代に周りの「読書離れ」が進んだ現状に強い危機感を抱く。大学図書館で一人奮闘する中、書評合戦ビブリオバトルと出会い、本を通じた人々の交流に可能性を見出す。2014年に読書を通じた世代間の交流、地域活性化や読書教育へと本格的に取り組むため、在学中に一般社団法人ビブリオポルトスを設立。小中学校での読書教育や、新聞で書評を担当する等、精力的な読書普及活動を続ける。第31回人間力大賞 会頭特別賞。「川崎市における読書普及活動」で第10回マニフェスト大賞 審査委員会特別賞(秋吉久美子選)を受賞。

小松雄也/川崎市出身の社会起業家。川崎市立下小田中小学校・西中原中学校卒業。

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本日の舞台は2014年9月28日(日)の出来事。
一般社団法人ビブリオポルトスを社会起業してから初のイベントです。
第二回多摩図書館
川崎市立多摩図書館では当時の鈴木館長が素晴らしい人物で、プレスリリースや川崎市内の大学(明治大学・専修大学・日本女子大学)へのポスター掲示&チラシ配布等、精力的にサポートをしていただきました。
今回で多摩図書館では2回目となるビブリオバトル入門&体験講座、川崎市民の方を中心に24名の方が参加してくれました。
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多摩図書館館長の挨拶から始まり、事前に公募した4名の方にエキシビジョンマッチへ参加していただきました。
・【チャンプ本】「范の犯罪」 志賀直哉 岩波文庫 小僧の神様他十篇から
・「神経症の時代 わが内なる森田正馬」 渡辺利夫 TBSブリタニカ
・「なまけもののさとり方」 地湧社 タデウス・ゴラス
・「テヘランでロリータを読む」 白水社 アーザル・ナフェイシー10635858_572091536251201_6147209798722388531_n
以下、4人一組のワークショップで紹介された本です。
・【チャンプ本】「すごい虫のゆかいな戦略」 BLUE BACKS 安富和男
・「科学と宗教と死」 集英社新書  加賀乙彦
・「脱会」  神保タミ子
・「森は海の恋人」 文春文庫 畠山重篤10710564_572091446251210_2870746136136528893_n
・【チャンプ本】「太陽の子」 角川文庫 灰谷健次郎 
・「はぐろとんぼ」 かがくのとも 吉谷昭憲
・「鈍感力」  渡辺淳一
・「清兵衛と瓢箪・網走まで」  新潮文庫 志賀直哉10672212_572091506251204_5870378298428563057_n
・【チャンプ本】「世界の食べもの――食の文化地理」 講談社学術文庫 石毛直道
・【チャンプ本】「人をめぐる冒険」 高木悠鼓
・「自分の中に毒を持て」 青春出版 岡本太郎
・「The Lazy Man's Guide to Enlightenment 」Thaddeus Golas  
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・「都会のトム&ソーヤ(1)」  講談社文庫 はやみねかおる
・「ロリータ」 新潮文庫  ウラジーミル・ナボコフ1907824_572091416251213_6861376952955184003_n
次回、多摩図書館との共催事業で、岡本太郎美術館ビブリオバトルを開催します!
2014年11月3日(月祝)は文化の日であり、川崎読書週間の日でもあります!

ここから様々な企業・団体とのビブリオバトルが始めります。
川崎市から始まり、多くの人達と出会う素晴らしいご縁に恵まれました。
これからも読書普及に邁進します!

小松雄也


小松雄也

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2014年9月18日横浜地方法務局にて、一般社団法人ビブリオポルトスを法人設立登記しました。
法人名はラテン語で「本の港」を意味します。(厳密には「港の本」らしいと後で気が付きました笑)
書評合戦ビブリオバトルを主軸とする読書普及団体として「あらゆる場所に本を届ける」ことを目的に4人の仲間たちと共に結成しました。
一般社団法人ビブリオポルトス ロゴ
「本と錨」がモチーフのロゴは、友人(たいち)が作成してくれました。
素晴らしい完成度で私の一生の宝物の一つです。

一般社団法人ビブリオポルトスでは主に3つの事業を展開して行きます。

01 あなたのまちで、ビブリオバトルをやってみませんか?
図書館や書店に限定することなく「人を通して本を知る、本を通して人を知る」ために、ビブリオバトルは様々な場面で活用することができます。
ビブリオバトルとは発表者が5分間で本の魅力を語り、3分間の質疑応答を挟んで、どの本が一番 読みたくなったのかを皆で決める、ゲーム形式の書評合戦です。
イベント冒頭でのアイスブレイク、企業でのレクリエーション、またはイノベーション・プログラムなどでもビブリオバトルは大きな役割を果たします。それだけでなく読書を通じて、世代間を超えた交流や、コミュニティ内での人間関係の強化、スピーチ能力の訓練、面白い本と出会う経験の共有、そして地域の活性化を促進することもできます。
一般社団法人ビブリオポルトスでは、企画・広報・運営・報告までを一体となって行います。学校・企業・大使館などに限らず、人とのつながりが大切とされる場所ならば、どこでも開催します。

02 「読む」「聞く」「話す」そして「書く」ためのトレーニング!
日本の学校では読書感想文という夏休み恒例の課題がありますが、その具体的な書き方について指導されることは稀だそうです。本を読んで何を感じ、何を表現するのか。それはビブリオバトルの5分間の発表で「話す」ことを、3分間の質疑応答で「聞く」ことを学ぶことができます。
また、自分の好きな本を通じて、日常生活に不可欠なコミュニケーションの基本を身につけることで「読む」ことへの興味も広がります。そして自分の考えをまとめることで「書く」という自己表現にもつながります。
一般社団法人ビブリオポルトスでは、読書を通してこれらの「読む」「聞く」「話す」そして「書く」ためのプログラムを提供することができます。また学校教育だけでなく、企業研修や個人のレッスンにも対応します。

03 理想の本棚を作成します!
読みたい本がない。または、どんな本を買ったら良いのかがわからない、という人はいませんか?代表理事の小松は、高校を卒業してから大学に入るまでの3年間で8,000時間以上を読書に費やしました。読書の世界は奥深く、まだまだ未熟者ですが、小説・漫画・絵本・写真集とジャンルにこだわらず、様々な分野で紹介したい本がたくさんあります。
「本を読め」と勧める人は多いですが、どのような本を読むべきと具体的に話してくれる人はあまりいません。世界中の本棚の中身を充実させるためにも、今までビブリオバトルで紹介されてきた本を含めて、皆さんに提供して行きます。
一般社団法人ビブリオポルトスでは、学校・図書館・病院などの公共スペースに限らず、そこに本があれば嬉しい空間へと本棚を提供します。団体・個人の要望にそった本のリストを月ごとに更新して選書します。

こちらの基本理念は当時の原文をそのままに掲載しましたが、現在まで一貫して繋がっています。
いよいよ「あらゆる場所に本を届ける」ため、クラウドファンディングを活用して動き始めることができますが、当時の思いを改めて読んでみると込み上げて来るものがあります。

「読書のまち、かわさき」を盛り上げていくため、具体的な活動を開始します。
まずは川崎市内への図書寄贈です!2月中に始動しますのでご支援&広報等、宜しくお願いします!


小松雄也

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「野生の風」村山由佳 集英社文庫

この本は女性を主人公にした恋愛小説です。
男と女はベルリンの壁崩壊の夜に出会い、人類発祥の地アフリカで再開する物語。
初めて読んだのはいつだったろうか、確かカナダ留学の後だったと記憶しています。
自立した主人公の話は、読んでいて気持ちが良いです。アフリカの大地で、生命力が開かれてくるような、照りつける太陽と土の匂いがしてくる作品です。

野生の風 WILD WIND (集英社文庫)
1. 体の中に入れて、一度全てを忘れる
彼女はトランクひとつで日本を飛び出していた。見たものをそのまま取り込むだけではなく、吸収した後、いったんすべてを捨て去らなければ新しいものは生み出せないと気づいたのは、それからまた二年ばかりたってからのことだ。
体の中に入れたものを一度全て忘れ、入れたものが飽和した時に新しいものが生まれる、と以前に書いたことがありますが、これはスポーツでも同じことが言えます。スポーツの練習は、ひたすらの反復練習が基本であり、舞踊などの型を体に叩き込むことに近いです。繰り返した動作が、無意識に行われるようになった後に、初めて新しい動きを手に入れることができるのです。

2. 鍛錬の成果たる美しさ
優雅であるとは、要するに無駄がないということだ。
一流のスポーツ選手の動作は、例外なく美しいです。たまに奇抜なフォームの選手もいるが、それはデタラメな動きではなく、一つの信念のもとに生まれた反復の成果なのです。一流の動きは洗練されています。彼らの躍動する様は、どのような種目でも等しく優雅です。そこには、常人の想像も及ばないような、選手たちの鍛錬に費やした膨大な時間が隠されているのです。私はアマチュアのスポーツ愛好家であるので、彼らの動作を何となく真似することが精一杯です。時間の裏打ちはないので、それほどの成果は生まれないのですが。

3. 行きたい、ではなく行ってしまおう
空が、雲が、山が、そして大地が……どれもがいのちあるもののように思えた。とてつもないエネルギーがそこから放出され、そのすべてが飛鳥めがけて押し寄せてくる―アフリカだ。
この本を読んでケニアへ行きたくなりました。最近はテレビ番組などで疑似体験し、何かを観たような気になってしまうが、生の体験には到底及びません。しかし、行きたい、とは無責任な言葉であります。この言葉を発してしまうと、大概の場合、そこへ行くことはありません。どこかに行く時は、いつも考えなしに家を飛び出してしまうです。あーまだケニア行ってないですね、行かねばなりません。

小松雄也

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「二十一世紀に生きる君たちへ」司馬遼太郎

友人と対談して本を紹介し合う試みがありました。
面白かったのでそのまま掲載します。

二十一世紀に生きる君たちへ (併載:洪庵のたいまつ)
加藤:本日紹介するのは、司馬遼太郎が書いた「二十一世紀に生きる君たちへ」という本です。主に小学国語に掲載されていた小学生を対象にした本で、司馬遼太郎が小学校低学年から高学年の子供たちに向けて、手紙のような形式で書かれているのが本書の特徴です。また、左に日本語、右に英語という形で見開き1ページとなっていて、英語を母国語にしている人たちにも読めるようになっています。翻訳はドナルド・キーン氏がやっています。
メッセージとしては「人間はあらゆるものによって生かされている」ということをこの本から読み取ることができます。それから、「常に学ぶことを止めないという姿勢」が大事であると作者は言っています。

小松:この本と出会ったのはいつですか?

加藤:親しくしている叔母が送ってくれた一冊で、小学校を卒業にする際に薦められたことがきっかけです。その時は歴史について詳しくはなかったので、当時の自分には特に響くようなことはなかったのですが、何度か折に触れて読み返すにつれて「歴史を学ぶ意義」について、再確認することができました。

加藤:司馬遼太郎が様々な歴史小説を書いて来た中で、誰を取り上げてメッセージを書いたのか、ということについて語られています。本書では適塾を創設した緒方洪庵について、「緒方洪庵の松明」という章で、焦点を当てて話しています。正直、意外な人選だと思いました。しかし、読んでみると納得することができます。まず、緒方洪庵の生涯を「幕府の言いなりとならずに、自分の信念を貫いた人物」として描いています。医術をはじめ人に何かを伝えることを徹したことで、後に続く大村益次郎や福沢諭吉といった明治維新で大活躍をする人物を育てたという視点が新鮮でした。

小松:緒方洪庵を例にすることで、司馬遼太郎の歴史上の人物たちとの付き合い方は見えて来ましたか?

加藤:これは最後のセッションで語ろうと思っていたのですが「歴史を歴史として見ない」という視点、つまり歴史上の人物を当時の生活や考え方に寄りそって、友人の如く付き合う。そんな中で作者は緒方洪庵という人物を選んだのではないかと思いました。普通であれば坂本龍馬や維新の三傑(木戸孝允、西郷隆盛、大久保利通)といわれる人たちを選ぶのが王道であると思うのですが、その中であえて縁の下の力持ちという役割を担った人物を取り上げたことは、作者の信念が表れているのではないでしょうか。

加藤:(本文)歴史とはなんでしょう、と聞かれるとき、「それは、大きな世界です。かつて存在した何億という人生がそこにつめこまれている世界なのです。」と答えるようにしている。
まず、一般的に私たちは小学生の頃から「なぜ歴史を勉強するのか」と考えて来ました。そこでよく挙げられるのが「過去の過ちを繰り返さない」だとか「教養としての知っておくべきだ」というスタンスこそが歴史を学ぶ意義であると、ステレオタイプに感じているのであると思いますが、そういったものではなくてもう少し大きな視点、司馬遼太郎が感じている歴史というものは、もっと歴史上の人物に寄りそって、出会う人物が皆先生であるかのように付き合うという姿勢が、この一文から読み取れました。

小松:二十一世紀を生きる者として、未来の「歴史上の人物」とはどのように接するべきだと考えますか。

加藤:それは難しい質問ですね……。どんな偉人であっても、人間であることに変わりはなく、色んな人の支えによって生きていることを前提として、変に英雄視するのではなく、そして美化するのではなく、彼ら彼女らがどのような背景で運動を展開しているのか、そういったものを理解した上で接することが大切なのではないでしょうか。これこそが、司馬遼太郎が実践した、歴史上の人物との付き合い方であるのだと思います。


小松雄也

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「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎 岩波文庫

この本が単なる自己啓発本ではありません。
特に強調したいのが、この本が出版されたのは1937年ということであります。
言論統制の嵐が吹き荒れる中で、著者の吉野源三郎は「少国民への教育」という名目の下、これを執筆しました。「君たちはどう生きるか」この本で述べられていることを要約するとこの一言です。
私が子供たちへ最も読み聞かせたいと思う一冊であり、親や教師など子供と接する人たちにも特に読んで欲しい本です。

君たちはどう生きるか
1. 考え方にコペルニクス的転回を
自分たちの地球が宇宙の中心だという考えにかじりついていた間、人類には宇宙の本当のことがわからなかったと同様に、自分ばかりを中心にして、物事を判断してゆくと、世の中の本当のことも、ついに知ることができないでしょう。
物事を客観視することは、存外に難しいことです。まして自分のことになると、どれだけ冷静に考えようとしても、主観の域を逃れられません。それでも、自分を客観的に分析したいと思うならば、なるべく多くの友人に話して、意見をもらうのが良いです。さらに、全く別の世代の人たちにも意見を聞いた方が、より詳細に自分の立ち位置を詳しく知ることができます。

2. 先ずは経験してもらう、五感で触れてもらう
絵や彫刻や音楽の面白さなども、味わってはじめて知ることで、すぐれた芸術に接したことのない人に、いくら説明したって、わからせることは到底出来はしない。
この次のページで「ただ書物を読んで、それだけで知るというわけには、決して行かない」とあります。同じような経験がなければ、自分の人生と本とが共鳴しないのです。本を読むだけで、何かを知ったつもりになることは危険でもあります。その危険性については、いつも自分に言い聞かせていることです。自分の目で見て、耳で聞いて、五感を活用して触れた経験こそが、読書にとって何よりも大切なのです。「書を読もう、外で遊ぼう」(寺山修二の発展形)と声を大にして伝え続けます。

3. 善悪の判断を君に問う
肝心なことは、世間の眼よりも何よりも、君自身がまず、人間の立派さがどこにあるか、それを本当に君の魂で知ることだ。
何が人間の立派さであるか、と問われると、私にはまだ明確な答えが見つかりません。そのため、私が好ましいと思う行いについて書きます。私は「人の笑顔と挨拶」が好きです。家の近所を歩く祭には、会う人全員に笑顔で挨拶をしています。返してくれない人はめったにいないので、とても気持ちが良いです。笑顔と挨拶は、初対面の人とも、円滑にコミュニケーションを取ることができる最大の武器です。笑顔と挨拶は私たちの楽しい人生を、さらに豊かにしてくれるのです。


友人とこの本について対談をしたことがありますので、残っていた文章を載せたいと思います。

小松:今回私が紹介する本は吉野源三郎の書いた「君たちはどう生きるか」という本です。この本が描かれたのは、1937年という日本が日中戦争に突入して行ったような時代です。当時の言葉で「少国民」と呼ばれた子供たちに向けられた、読みやすい本となっています。軍国主義の政治体制の中で、ただそれに迎合するのではなく、そういった厳しい統制の中でこそ、失ってはならない、伝えたかった作者の強い思いが込められています。「コペル君」という中学二年生の男の子を主人公にして、大切な感情を学んで行く様子が、小説として書かれています。

加藤:1937年に出されたということですが、今の子供たちが読む際に、古臭さは感じませんか。

小松:確かに時代背景の違いを感じる部分もあります。しかし、これほど平和となった現代と、戦争に突入して行く当時を比較しても、決して色褪せることのない正義感や道徳、科学への関心、そういったかけがえのないものが作中に溢れているのですね。むしろ、当時の人たちが、自由を抑圧されてきた中でも、学びを止めなかったのかという姿勢を、「コペル君」を通じて感じることができるので、今の時代にこそ、読む意義があるのだと思います。

小松:この本と最初に出会ったのは小学生の頃でしたが、難しい、と感じたことも事実です。ただ、主人公の「コペル君」は、当時の私からすると年上の存在でしたので、一種の憧れのような感情がありまして、また科学への関心というものが、自分の中で深まって、育まれて行きました。小説の中では、ニュートンの林檎の話、ナポレオンの武勇の話や、仏教についての話などが出て来ます。作中で「コペル君」が色んなものに興味を持って動いて行くので、楽しく、分かりやすくそれらに触れることができました。

加藤:科学や歴史など、「教養」の書としても読めるのだと思ったのですが、実際にそういう本なのですか。

小松:「教養」というものを難しく大人の言葉で語ることは簡単だと思います。しかし、子供たちにも、初めて学ぶ人たちにも「教養」を分かりやすく教えるということは、とても難しいことではないでしょうか。小学生の時に初めて読んだ本でしたが、現在の大学生の立場から読み返しても、その度に新しい発見が出て来る本なのです。「科学入門」にもなり得る一方で、何よりも「君たちはどう生きるか」という題名の通り、自分たちの人生を様々な場面から振り返ることのできる書ではないでしょうか。

小松:(本文)「人間は、どんな人だって、一人の人間として経験することに限りがある。しかし、人間は言葉というものをもっている。だから、自分の経験を人に伝えることも出来るし、人の経験を聞いて知ることも出来る。その上に、文字というものを発明したから、書物を通じて、お互いの経験を伝えあうことも出来る。
本というものに対して、ハッとさせられた文章です。先人の書いて来た文章というものは、知識の結晶であり、それらの集積である本に触れられるということはどれだけ幸せなことでしょうか。その本をいかに選んで、読んで行くのか、これが私の人生の指針となりました。この文章がきっかけで、読書にのめり込んで行くようになりました。

加藤:本を通じて学ぶ、ということでしょうか。一方で、万巻の書を尽くしても知り得ないものは、何であると思いますか。

小松:本書にも書かれていることなのですが、本を読んだことだけで分かったような気になるな、という意味の文章があります。本当の理解には、行動を通じてこそ得られるのではないでしょうか。飽くまでも本には、誰かの経験や実験に基づいた理論が書かれています。本から学んだことを通じて、自分がどう影響され、どのように行動したのか。実践を重ねる中で、自分だけが感じることのできる何か、それが万巻の書に勝るものではないでしょうか。

小松雄也

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